非常用発電機

非常用発電機

非常用発電機は、停電時でも稼動させたい重要設備に電力を供給するために設置されます。
例えば、消防法、建築基準法で設置が義務づけられる防災用発電機は、消防設備や排煙設備などに停電時の備えとして、非常用発電機が設置されます。
しかし、非常用発電機が始動しなかったり、緊急停止してしまえば、本来の目的を果たすことはできません。そのため、非常用発電機の本来の目的、役割を果たすため定期的な点検・整備を行うとともに、非常用発電機が正常に機能を発揮できるための性能確認を行うことが重要です。

停電によって停止するインフラの例
通信
通信網(データセンター・基地局等)
電話・インターネット・防災無線・テレビ・ラジオ
物流
道路・空港・倉庫・店舗・スーパー・ガソリンスタンド等
水道
水道・下水処理場
官公庁
災害対策本部・各種行政サービス等
オフィスビルで
使えなくなるもの(例)
消防法・建築基準法で定める防災用設備
  • スプリンクラー
  • 屋内消火栓
  • 非常用エレベーター
  • 自動火災報知設備
  • 誘導灯
  • 排煙設備
  • 連結送水管
  • 非常用照明
  • 防火戸・防火シャッター
※建物によって設置される設備が異なります。
オフィスの経営に必要な設備
  • コンピューター、サーバー、照明など
  • オフィス機器(電話、FAX、プリンター、複合機)など
  • 冷蔵庫、湯沸かし器など
病院で
使えなくなるもの(例)
消防法・建築基準法で定める防災用設備
  • スプリンクラー
  • 屋内消火栓
  • 非常用エレベーター
  • 自動火災報知設備
  • 誘導灯
  • 排煙設備
  • 連結送水管
  • 非常用照明
  • 防火戸・防火シャッター
※建物によって設置される設備が異なります。
医療・治療等に必要な設備
  • 人工呼吸器、心電図監視装置などの重要ME機器
  • 人工透析器
  • レントゲンなどの検査機器
  • 手術灯などの照明
  • 電子カルテ等情報ネットワーク
非常用発電機の点検と負荷試験
非常用発電機は、普段は動かない設備(停電が発生したときに起動)ですので、万一に備えて定期的な点検・整備が求められます。負荷試験は定期的な点検・整備を行った後、非常用発電機の「運転性能の確認」のために実施するものです。
点検・整備を行わずに負荷試験を実施すると、思いがけない不具合が発生することがあり、発電機を損傷させてしまったり、周囲の設備に損害を与える危険もあります。
負荷試験を計画する上で、施設の電気主任技術者や発電機メーカー等の専門家のアドバイスを受けながら計画することが大切です。
非常用発電機の点検と負荷試験
非常用発電機の点検と負荷試験
非常用発電機の点検と負荷試験
非常用発電機の点検と負荷試験
非常用発電機の機能と性能確認
非常用発電機は、①消費する電力分だけ発電し、②一定の周波数を維持し、③一定の電圧を維持することが求められます。①消費する電力分だけ発電するため、「模擬負荷試験装置」を使用し、発電機の最大能力まで発電させて、状態を確認します。負荷試験は、非常用発電機の稼動状態を「再現」することです。実際に発電機が動く状態(発電状態)を確認することで、平常時に、未然に不具合を確認し対処することができます。
消費する電力分
だけ発電
周波数は一定
±5%以内
電圧は一定
±2.5%以内
経年劣化
外見から
判別できない不具合
負荷試験内容
負荷特性試験
負荷特性試験
段階的に負荷を上げ、
100%まで発電できるかを確認
定格全負荷(発電量の100%)に対し、負荷容量25%まで上昇し状態確認、負荷容量50%、75%、100%まで同じ作業を行います。状態確認は各段階の周波数、電圧、油圧、水温などの状態を確認します。負荷の変動に合わせて適切に発電されているか、正しく負荷に追従できているかを確認します。
連続運転試験
連続運転試験
定格100%で一定時間運転し
性能を確認
定格全負荷(発電量の100%)の状態で、非常用発電機の温度が飽和状態になる時間を含め、3時間程度連続運転を行います。
周波数、電圧の状態、油圧、水温などの状態、排気色、異常振動の有無などを確認し、正常に作動するかを確認します。連続運転試験を実施中、堆積した未燃焼燃料やカーボンの除去も行えます。
調速試験
調速試験
急激な発電量の変動に
対応できるか確認
瞬時の負荷変動に応じて調速機性能を確認する試験です。瞬時に負荷変動すると、周波数(=エンジンの回転数)が一時的に低下しますが、調速機が反応し適正な回転数に戻し維持することを確認します。試験は、定格全負荷に対し、負荷容量25%を瞬時に投入し電圧、周波数の変動値及び整定までの時間を測定。この作業を50%、75%、100%まで行い確認します。ポンプやモーターなどの始動時にかかる「突入電流」に対応できるかを確認する重要な試験項目です。
負荷試験の目的は
発電機の運転性能を確認すること
異常の発見・対処
負荷試験は発電状態を再現することで
平常時に異常を発見し対処することが大切。
カーボンの除去
100%負荷でエンジン温度を
最高温度にすることで
堆積したカーボンを除去し、健全な発電機へ。